小野大輔《よだかの星》
よだかの星
夜鷹之星
宮沢賢治
朗読:小野大輔
よだかは、実にみにくい鳥です。
夜鷹是一種長得很醜的鳥。
顔は、ところどころ、味噌みそをつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。
它的臉上就像塗了豆醬一樣滿是花斑,嘴巴扁扁的,一直裂到了耳朵那裡。
足は、まるでよぼよぼで、一間いっけんとも歩けません。
它的腿腳也不靈便,走不了幾步路。
ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合ぐあいでした。
其他的鳥,一看見它就生厭。
たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、よだかよりは、ずっと上だと思っていましたので、夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりながら、首をそっ方ぽへ向けるのでした。もっとちいさなおしゃべりの鳥などは、いつでもよだかのまっこうから悪口をしました。
比方說吧,雲雀雖不算是什麼美麗的鳥,但它卻自認為比夜鷹要美麗多了,所以黃昏時一瞧見夜鷹,便露出極其厭惡的神情,執拗地閉上眼睛,將臉扭向一邊。而那些多嘴多舌的小鳥,更是明目張胆地奚落夜鷹:
「ヘン。又また出て來たね。まあ、あのざまをごらん。ほんとうに、鳥の仲間のつらよごしだよ。」
「哼!又出來了。瞧呀,瞧它那醜樣,真給我們鳥類丟臉。」
「ね、まあ、あのくちのおおきいことさ。きっと、かえるの親類か何かなんだよ。」
「瞧它那張大嘴,準是癩蛤蟆的親戚。」
【日語愛好者enjoyJP】
こんな調子です。おお、よだかでないただのたかならば、こんな生なまはんかのちいさい鳥は、もう名前を聞いただけでも、ぶるぶるふるえて、顔色を変えて、からだをちぢめて、木の葉のかげにでもかくれたでしょう。ところが夜だかは、ほんとうは鷹たかの兄弟でも親類でもありませんでした。かえって、よだかは、あの美しいかわせみや、鳥の中の寶石のような蜂はちすずめの兄さんでした。蜂すずめは花の蜜みつをたべ、かわせみはお魚を食べ、夜だかは羽蟲をとってたべるのでした。それによだかには、するどい爪つめもするどいくちばしもありませんでしたから、どんなに弱い鳥でも、よだかをこわがる筈はずはなかったのです。
就是這麼一種狀況。唉,若我不是夜鷹而是鷹的話,這群乳臭未乾的小毛鳥,恐怕一聽到鷹的名字,就會嚇得渾身發抖,縮著身子藏到樹葉後去了吧?可是,夜鷹既不是鷹的兄弟,也不是鷹的親屬,而是美麗的翠鳥和被譽為「鳥中瑰寶」的蜂鳥的哥哥。蜂鳥吮吸花蜜,翠鳥捕食小魚,而夜鷹則是捉羽虱吃。因為夜鷹沒有鋒利的爪子,也沒有鋒利的嘴巴,所以不管多麼弱小的鳥,見到它都不會害怕。
それなら、たかという名のついたことは不思議なようですが、これは、一つはよだかのはねが無暗むやみに強くて、風を切って翔かけるときなどは、まるで鷹のように見えたことと、も一つはなきごえがするどくて、やはりどこか鷹に似ていた為ためです。もちろん、鷹は、これをひじょうに気にかけて、いやがっていました。それですから、よだかの顔さえ見ると、肩かたをいからせて、早く名前をあらためろ、名前をあらためろと、いうのでした。
既然如此,它又為何取了一個與鷹有關的名字呢?其原因之一是夜鷹的翅膀強悍有力,當它迎風飛翔的時候,恰似雄鷹翱翔。再者是它的叫聲尖利,聽上去也有些像鷹。不用說,鷹對此十分介意,很不自在。每當見到夜鷹的時候,鷹便聳起肩膀,吼著叫它「趕快給我改名字!趕快給我改名字!」
ある夕方、とうとう、鷹がよだかのうちへやって參りました。
一天傍晚,鷹終於來到了夜鷹的家裡。
「おい。居るかい。まだお前は名前をかえないのか。ずいぶんお前も恥はじ知らずだな。お前とおれでは、よっぽど人格がちがうんだよ。たとえばおれは、青いそらをどこまででも飛んで行く。おまえは、曇くもってうすぐらい日か、夜でなくちゃ、出て來ない。それから、おれのくちばしやつめを見ろ。そして、よくお前のとくらべて見るがいい。」
「喂,夜鷹在家嗎?怎麼還沒把名字改過來呀?你也真是厚顏無恥。你跟我品格截然不同,我可以在藍天上任意翱翔,而你呢?只有在陰天或是黑夜裡才能出來。還有,你好好看看我的嘴巴和爪子!再瞧瞧你自己的!」
「鷹さん。それはあんまり無理です。私の名前は私が勝手につけたのではありません。神さまから下さったのです。」
「鷹大哥!這不太可能啊!我的名字不是我自己隨便起的,是上帝賜給我的呀!」
「いいや。おれの名なら、神さまから貰もらったのだと雲いってもよかろうが、お前のは、雲わば、おれと夜と、両方から借りてあるんだ。さあ返せ。」
「不!我的名字才可以說是上帝賜給的。你的嘛,是用了我的『鷹』字和『夜』字拼湊起來的。還是趁早還給我!」
「鷹さん。それは無理です。」
「鷹大哥,這很難辦啊!」
「無理じゃない。おれがいい名を教えてやろう。市蔵いちぞうというんだ。市蔵とな。いい名だろう。そこで、名前を変えるには、改名の披露ひろうというものをしないといけない。いいか。それはな、首へ市蔵と書いたふだをぶらさげて、私は以來市蔵と申しますと、口上こうじょうを雲って、みんなの所をおじぎしてまわるのだ。」
「這不難辦。我這就給你起個好名字,你就叫『市藏』吧!嗯,就叫『市藏』好了。怎麼樣?這個名字不賴吧。不過,改名得舉行一個改名儀式。聽見了嗎?要在脖子上掛個寫著『市藏』的牌子,到各家各戶去行禮說:『我叫市藏。以後請大家叫我市藏吧!』」
「そんなことはとても出來ません。」
「這,我做不到啊。」
「いいや。出來る。そうしろ。もしあさっての朝までに、お前がそうしなかったら、もうすぐ、つかみ殺すぞ。つかみ殺してしまうから、そう思え。おれはあさっての朝早く、鳥のうちを一軒けんずつまわって、お前が來たかどうかを聞いてあるく。一軒でも來なかったという家があったら、もう貴様もその時がおしまいだぞ。」
「不,沒什麼做不到的。就這麼定了。如果到後天早上你還沒有照我說的去做,那我可就要把你掐死!要掐死你的喲,還是好好考慮考慮吧!後天一大早我會挨家挨戶去打聽你是否來過。倘若有一家沒有走到,你就死定了!」
「だってそれはあんまり無理じゃありませんか。そんなことをする位なら、私はもう死んだ方がましです。今すぐ殺して下さい。」
「這怎麼可能啊!如果非要我那麼做,我情願去死。您現在就把我殺了吧!」
「まあ、よく、あとで考えてごらん。市蔵なんてそんなにわるい名じゃないよ。」鷹は大きなはねを一杯いっぱいにひろげて、自分の巣すの方へ飛んで帰って行きました。
「我看你還是好好想想吧!市藏這個名字不錯嘛。」鷹說罷,張開寬大的雙翼,朝自己的巢穴方向飛去了。
よだかは、じっと目をつぶって考えました。
夜鷹閉目沉思。
(一たい僕ぼくは、なぜこうみんなにいやがられるのだろう。僕の顔は、味噌をつけたようで、口は裂さけてるからなあ。それだって、僕は今まで、なんにも悪いことをしたことがない。赤ん坊ぼうのめじろが巣から落ちていたときは、助けて巣へ連れて行ってやった。そしたらめじろは、赤ん坊をまるでぬす人からでもとりかえすように僕からひきはなしたんだなあ。それからひどく僕を笑ったっけ。それにああ、今度は市蔵だなんて、首へふだをかけるなんて、つらいはなしだなあ。)
(我為何這麼惹人討厭呢?大概是因為我的臉上像抹了豆醬一樣,嘴巴咧到耳朵那裡的緣故吧!可是我從未做過任何壞事呀。有一回,綉眼鳥的小寶寶從窩裡掉下來時,是我把它送回到了窩裡。可是綉眼鳥媽媽卻像是從強盜的手裡奪回嬰兒似的,一把將小寶寶從我的懷中奪了過去,還狠狠地嘲笑了我一番。現在又要在我的脖子上掛個「市藏」的牌子,實在是叫人痛心。)
あたりは、もううすくらくなっていました。夜だかは巣から飛び出しました。雲が意地悪く光って、低くたれています。夜だかはまるで雲とすれすれになって、音なく空を飛びまわりました。
周圍漸漸地暗了下來。夜鷹從自己的鳥巢里飛了出來。烏雲低垂,惡作劇一般地閃著亮光。夜鷹緊貼著雲層默默地盤旋著。
それからにわかによだかは口を大きくひらいて、はねをまっすぐに張って、まるで矢のようにそらをよこぎりました。小さな羽蟲が幾匹いくひきも幾匹もその咽喉のどにはいりました。
然後,它忽然張開了大嘴,舒展雙翅,箭一般地從空中滑過。數不清的小羽虱被它吞進了嘴巴。
からだがつちにつくかつかないうちに、よだかはひらりとまたそらへはねあがりました。もう雲は鼠色ねずみいろになり、向うの山には山焼けの火がまっ赤です。
就在身體即將觸到地面時,夜鷹一縱身,又敏捷地升到了天空中。雲層已經變成了暗灰色,對面的山火把四周映得通紅。
夜だかが思い切って飛ぶときは、そらがまるで二つに切れたように思われます。一疋ぴきの甲蟲かぶとむしが、夜だかの咽喉にはいって、ひどくもがきました。よだかはすぐそれを呑のみこみましたが、その時何だかせなかがぞっとしたように思いました。
當夜鷹盡全力振翅飛翔時,天空如同被刀劈成了兩半。一隻獨角仙闖進了夜鷹的喉嚨,拚命地掙扎。夜鷹一口就把它吞了下去。吞下去的時候,夜鷹覺得後脊樑有一股寒氣掠過。
雲はもうまっくろく、東の方だけ山やけの火が赤くうつって、恐おそろしいようです。よだかはむねがつかえたように思いながら、又そらへのぼりました。
雲變得漆黑一片,唯有東方的天際仍被山火映得通紅,令人產生一種恐懼感。夜鷹胸口有點悶,又一次飛向了高空。
また一疋の甲蟲が、夜だかののどに、はいりました。そしてまるでよだかの咽喉をひっかいてばたばたしました。よだかはそれを無理にのみこんでしまいましたが、その時、急に胸がどきっとして、夜だかは大聲をあげて泣き出しました。泣きながらぐるぐるぐるぐる空をめぐったのです。
又一隻獨角仙闖進了夜鷹的喉嚨。如同在抓撓夜鷹的喉嚨,用力撲騰。夜鷹拚命將它吞了下去,心頭猛然一顫,不禁放聲痛哭起來。夜鷹一邊哭,一邊在天上一圈一圈地盤旋。
(ああ、かぶとむしや、たくさんの羽蟲が、毎晩僕に殺される。そしてそのただ一つの僕がこんどは鷹に殺される。それがこんなにつらいのだ。ああ、つらい、つらい。僕はもう蟲をたべないで餓うえて死のう。いやその前にもう鷹が僕を殺すだろう。いや、その前に、僕は遠くの遠くの空の向うに行ってしまおう。)
(啊,我每天晚上都要吃掉那麼多的獨角仙和羽虱。而我,這次卻要被鷹吃掉了。這是多麼痛苦呀!痛苦死了,痛苦死了!我再也不捉蟲吃了,我情願就這麼餓死——也許還沒餓死,就先被鷹吃掉了。不行,我得趁鷹還沒下手,飛往遙遠的地方。)
山焼けの火は、だんだん水のように流れてひろがり、雲も赤く燃えているようです。
山火像流水一樣,四處蔓延,雲層也如同被燒著了一般通紅通紅。
よだかはまっすぐに、弟の川せみの所へ飛んで行きました。きれいな川せみも、丁度起きて遠くの山火事を見ていた所でした。そしてよだかの降りて來たのを見て雲いました。
夜鷹徑直朝翠鳥弟弟家裡飛去。美麗的翠鳥此時也已經醒來,正在觀望遠處的山火。見夜鷹飛來,便問:
「兄さん。今晩は。何か急のご用ですか。」
「大哥!晚上好。你有什麼急事嗎?」
「いいや、僕は今度遠い所へ行くからね、その前一寸ちょっとお前に遭あいに來たよ。」
「沒有,我這次要出遠門了,臨行前來看看你。」
「兄さん。行っちゃいけませんよ。蜂雀はちすずめもあんな遠くにいるんですし、僕ひとりぼっちになってしまうじゃありませんか。」
「大哥,你不能走啊。蜂鳥也離我那麼遠,就剩下我孤單一人了。」
「それはね。どうも仕方ないのだ。もう今日は何も雲わないで呉くれ。そしてお前もね、どうしてもとらなければならない時のほかはいたずらにお魚を取ったりしないようにして呉れ。ね、さよなら。」
「實在是不得已啊,你今天不要再說什麼了。還有,除非在不得已的時候,你不要再隨隨便便捉魚了。好,再見。」
「兄さん。どうしたんです。まあもう一寸お待ちなさい。」
「大哥,你這是怎麼了?你等等。」
「いや、いつまで居てもおんなじだ。はちすずめへ、あとでよろしく雲ってやって呉れ。さよなら。もうあわないよ。さよなら。」
「不行,我早晚都要走的,你替我問候蜂鳥吧,再見!我以後不會再來了,再見吧!」
よだかは泣きながら自分のお家うちへ帰って參りました。みじかい夏の夜はもうあけかかっていました。
夜鷹哭著飛回了自己的巢里。短暫的夏夜已經微露曙光了。
羊歯しだの葉は、よあけの霧きりを吸って、青くつめたくゆれました。よだかは高くきしきしきしと鳴きました。そして巣の中をきちんとかたづけ、きれいにからだ中のはねや毛をそろえて、また巣から飛び出しました。
鳳尾草的葉子吮吸著晨霧,青翠欲滴地搖曳著。夜鷹嘎嘎地放聲鳴叫著。隨後,它將鳥巢裡面打掃乾淨,又把渾身的羽毛整齊地梳理了一遍,然後就飛離了鳥巢。
霧がはれて、お日さまが丁度東からのぼりました。夜だかはぐらぐらするほどまぶしいのをこらえて、矢のように、そっちへ飛んで行きました。
霧散了,太陽從東方冉冉升起。夜鷹忍受著刺眼的陽光,如離弦之箭一般地向東方飛去。
「お日さん、お日さん。どうぞ私をあなたの所へ連れてって下さい。灼やけて死んでもかまいません。私のようなみにくいからだでも灼けるときには小さなひかりを出すでしょう。どうか私を連れてって下さい。」
太陽啊太陽!請把我帶到您的身旁去吧。即使把我燒死,我也心甘情願。儘管我的樣子醜陋無比,但燃燒時總會放出一點光芒吧!請您把我帶走吧!
行っても行っても、お日さまは近くなりませんでした。かえってだんだん小さく遠くなりながらお日さまが雲いました。
夜鷹奮力地飛啊飛,可就是接近不了太陽。相反,太陽卻越來越小了。
「お前はよだかだな。なるほど、ずいぶんつらかろう。今度そらを飛んで、星にそうたのんでごらん。お前はひるの鳥ではないのだからな。」
「你是夜鷹吧?難怪你如此痛苦。今天晚上,你飛上天去問問星星吧。因為你不是白天的鳥類。」
夜だかはおじぎを一つしたと思いましたが、急にぐらぐらしてとうとう野原の草の上に落ちてしまいました。そしてまるで夢ゆめを見ているようでした。からだがずうっと赤や黃の星のあいだをのぼって行ったり、どこまでも風に飛ばされたり、又鷹が來てからだをつかんだりしたようでした。
夜鷹本想給太陽鞠個躬,但身子突然晃了起來,最後掉到了荒野的草地上。夜鷹如同進入了夢境,它覺得自己好像一會兒在星空里飛翔,一會兒被風颳得到處飄蕩,一會兒又好像身體被鷹死死地抓住。
つめたいものがにわかに顔に落ちました。よだかは眼めをひらきました。一本の若いすすきの葉から露つゆがしたたったのでした。もうすっかり夜になって、空は青ぐろく、一面の星がまたたいていました。よだかはそらへ飛びあがりました。今夜も山やけの火はまっかです。よだかはその火のかすかな照りと、つめたいほしあかりの中をとびめぐりました。それからもう一ぺん飛びめぐりました。そして思い切って西のそらのあの美しいオリオンの星の方に、まっすぐに飛びながら叫さけびました。
一串冰冷的東西突然落在了臉上。夜鷹睜開了眼睛,原來是露珠從芒草的一片嫩葉上滴落下來。夜色已深,天空也變成了黛藍色,滿天的星星閃閃爍爍。夜鷹飛向了夜空。今晚的山火依然一片通紅。夜鷹在山火微弱的火光和清冷的星光中盤旋一圈,接著又盤旋了一圈。然後就毅然地朝西邊那美麗的獵戶星的方向徑直地飛去了,它邊飛邊叫著:
「お星さん。西の青じろいお星さん。どうか私をあなたのところへ連れてって下さい。灼けて死んでもかまいません。」
「星星啊星星,西邊銀白色的星星。請把我帶到您的身邊去吧。即使燒死,我也心甘情願。」
オリオンは勇ましい歌をつづけながらよだかなどはてんで相手にしませんでした。よだかは泣きそうになって、よろよろと落ちて、それからやっとふみとまって、もう一ぺんとびめぐりました。それから、南の大犬座の方へまっすぐに飛びながら叫びました。
獵戶星不停地唱著雄壯的歌,根本不理睬夜鷹。夜鷹急得幾乎要哭出來了,搖搖晃晃地掉了下去,後來它好不容易才穩住了,又盤旋起來,這回它一邊朝南邊的大犬星那裡徑直飛去,一邊叫道:
「お星さん。南の青いお星さん。どうか私をあなたの所へつれてって下さい。やけて死んでもかまいません。」
「星星啊星星,南邊藍色的星星。請把我帶到您的身旁去吧。即使燒死,我也心甘情願。」
大犬は青や紫むらさきや黃やうつくしくせわしくまたたきながら雲いました。
大犬星不斷地閃爍出藍紫黃等絢麗繽紛的光芒,說:
「馬鹿を雲うな。おまえなんか一體どんなものだい。たかが鳥じゃないか。おまえのはねでここまで來るには、億年兆年億兆年だ。」そしてまた別の方を向きました。
「你不要說傻話了。你算什麼東西,不過是一隻鳥罷了。就憑你那雙翅膀還想飛到我這裡來,起碼要花上一億年、一兆年、一億兆年。」說完,便把臉轉到了別處。
よだかはがっかりして、よろよろ落ちて、それから又二へん飛びめぐりました。それから又思い切って北の大熊星おおぐまぼしの方へまっすぐに飛びながら叫びました。
夜鷹垂頭喪氣,搖晃著向下墜去,而後又盤旋了兩圈。接著,它下定了決心,徑直向北邊的大熊星那裡飛去,一邊飛一邊叫道:
「北の青いお星さま、あなたの所へどうか私を連れてって下さい。」
「北邊的藍星星啊,請把我帶到您的身邊去吧。」
大熊星はしずかに雲いました。
大熊星座不動聲色地說:
「余計なことを考えるものではない。少し頭をひやして來なさい。そう雲うときは、氷山の浮ういている海の中へ飛び込こむか、近くに海がなかったら、氷をうかべたコップの水の中へ飛び込むのが一等だ。」
「你不要想入非非了,還是讓頭腦冷靜一下吧。這種時候,你最好跳進漂浮著冰山的大海里,如果附近沒有海,最好跳進浮著冰塊兒的水裡。」
よだかはがっかりして、よろよろ落ちて、それから又、四へんそらをめぐりました。そしてもう一度、東から今のぼった天あまの川がわの向う岸の鷲わしの星に叫びました。
夜鷹大失所望,身子搖晃著向下墜去,它又在天空中盤旋了四圈。它再一次向銀河對岸那從東方升起的天鷹星叫道:
「東の白いお星さま、どうか私をあなたの所へ連れてって下さい。やけて死んでもかまいません。」
「東邊的白星星啊,請把我帶到您的身旁去吧。即使燒死,我也心甘情願。」
鷲は大風おおふうに雲いました。
天鷹狂妄自大地說:
「いいや、とてもとても、話にも何にもならん。星になるには、それ相応の身分でなくちゃいかん。又よほど金もいるのだ。」
「那怎麼行?真是異想天開。要想成為星星,沒有相應的身份哪行?另外還要有足夠的錢。」
よだかはもうすっかり力を落してしまって、はねを閉じて、地に落ちて行きました。そしてもう一尺で地面にその弱い足がつくというとき、よだかは俄にわかにのろしのようにそらへとびあがりました。そらのなかほどへ來て、よだかはまるで鷲が熊を襲おそうときするように、ぶるっとからだをゆすって毛をさかだてました。
夜鷹已經精疲力竭了,它耷拉著翅膀向地面墜落下去。就在它那無力的爪子離地面只有一尺遠的時候,夜鷹突然像狼煙一樣直衝雲霄。飛到了天上,夜鷹簡直就像一隻老雕襲擊熊時一般,抖著身子,羽毛都倒豎了起來。
それからキシキシキシキシキシッと高く高く叫びました。その聲はまるで鷹でした。野原や林にねむっていたほかのとりは、みんな目をさまして、ぶるぶるふるえながら、いぶかしそうにほしぞらを見あげました。
隨後,它發出了嘎嘎嘎的尖叫聲,那叫聲恰似雄鷹。原野和林子里熟睡的鳥兒們都被驚醒了,大家都疑惑地仰望著星空。
夜だかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました。もう山焼けの火はたばこの吸殻すいがらのくらいにしか見えません。よだかはのぼってのぼって行きました。
夜鷹向遼闊無邊的天空一直飛去,山火已經像吸剩下的煙頭兒那麼大了。夜鷹仍在往高處飛。
寒さにいきはむねに白く凍こおりました。空気がうすくなった為に、はねをそれはそれはせわしくうごかさなければなりませんでした。
天氣太冷了,呼出的氣在胸前凍結成一層白霜。空氣逐漸稀薄,夜鷹不得不拚命扇動著翅膀。
それだのに、ほしの大きさは、さっきと少しも変りません。つくいきはふいごのようです。寒さや霜しもがまるで剣のようによだかを刺さしました。よだかははねがすっかりしびれてしまいました。そしてなみだぐんだ目をあげてもう一ぺんそらを見ました。そうです。これがよだかの最後でした。もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、上を向いているのかも、わかりませんでした。ただこころもちはやすらかに、その血のついた大きなくちばしは、橫にまがっては居ましたが、たしかに少しわらって居おりました。
然而星星跟剛才一樣大小。夜鷹的呼吸變得急促起來,如同在拉風箱一樣。冰冷的寒霜像利劍一樣刺在夜鷹身上,它的翅膀已經麻木了。夜鷹睜開噙滿淚水的雙眼,又望了望天空。是的,這就是夜鷹臨終的時刻了。夜鷹已經不知自己是在往下墜還是在向上飛了,也不知自己的頭是朝上還是朝下了。不過,此時,它看來很安詳,雖然咧開的大嘴沾滿血跡,但它的確是在微笑。
それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。そして自分のからだがいま燐りんの火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。
又過了一會兒,夜鷹清醒過來,它睜開了眼睛。它看見自己的身體放射出磷火般美麗的青光,正在靜靜地燃燒。
すぐとなりは、カシオピア座でした。天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました。
緊挨著它的仙后座,銀河那藍白色的光芒就在背後閃爍著。
そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
夜鷹之星繼續燃燒,永遠燃燒。
今でもまだ燃えています。
時至今日,仍然在燃燒著。
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作者:和邪社倉舞,射手座,坐標西安 。混跡創投圈的職場墨客,鴛鴛相抱何時了,鴦在一旁看熱鬧,天下大同~
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